いまさら人に聞けなかった「年金」についての素朴な疑問。

還暦まであと7年。一世代前なら、60歳で退職し「年金で食っていけそうだから、細々とでも好きなことをして過ごそうか。」という人が多かったと思われます。
しかし今は、年金支給は徐々に先送りになり、私たち1963年生まれの人間たちは、65歳からの支給ということになります。いろいろな変更もあり、自分自身の不勉強もあり、「年金」のことがよくわかっていませんでした。

日本年金機構のサイトの5月15日付の更新で、「必要な資格期間が25年から10年に短縮されます」という記事がありました。

最近、iDeCo(イデコ)という言葉もよく聞きます。(個人型確定拠出年金の事らしい。)人によっては、お得らしい、、、。

年金に関する素朴な疑問を解消すべく、自分のために調べてみました。
あなたは、わかっていたでしょうか?

「年金」の素朴な疑問

1 何歳から年金が支給されるのか?

※ここでの「年金」は老齢年金を指します。
※老齢年金には国民年金=「老齢基礎年金」厚生年金=「老齢厚生年金」があります。
今まさに、段階的に支給年齢が繰り上げになっている最中ですが、1963年(昭和38年)生まれの自分はどうなのか? あやふやだったので、再確認。
性別によっても支給年齢が変わってくることを、今回、初めて知りました。

昭和36年4月2日以降生まれの男性・昭和41年4月2日以降生まれの女性

国民年金も厚生年金も65歳から。(65歳支給完全実施の世代。)
kojiもこの世代。細かいことを考える余地もないのでした。

昭和34年4月2日~昭和36年4月1日生まれの男性
・昭和39年4月2日~昭和41年4月1日生まれの女性

国民年金は65歳から。
厚生年金は64歳から。(64歳支給分は「報酬比例部分」と呼ばれ、65歳からは「老齢厚生年金」となります。)

昭和32年4月2日~昭和34年4月1日生まれの男性
・昭和37年4月2日~昭和39年4月1日生まれの女性

国民年金は65歳から。
厚生年金は63歳から。(63歳~64歳の支給分は「報酬比例部分」と呼ばれ、65歳からは「老齢厚生年金」となります。)

昭和30年4月2日~昭和32年4月1日生まれの男性
・昭和35年4月2日~昭和37年4月1日生まれの女性

国民年金は65歳から。
厚生年金は62歳から。(62歳~64歳の支給分は「報酬比例部分」と呼ばれ、65歳からは「老齢厚生年金」となります。)

2 65歳を待たず繰り上げて受給できるのか?

答えはYES!→ただし、デメリットが目立つ。
(平成27年度の統計では、繰り上げ受給している人は3割を超えているようです。)

繰り上げ受給のメリット

・早く現金を手にできる。

繰り上げ受給のデメリット

・年金額の減額。
減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数
(60歳から受給 → 65歳まで60か月あるので、0.5×30=30%減額)
つまり、60歳から繰り上げて受給すると、65歳受給の3割引きとなります。
(国民年金満額支給(40年全部納めた人)は現状、月あたり6.5万円程度なので、繰り上げの人は月4.6万円ほどになります。)
(厚生年金40年納めた人の平均は、月14.7万円弱程度だそうです。繰り上げの人は、月10.3万円程度。)

※繰り上げ受給を始めたときの年金額が、最後まで適応されます。かなりもったいない感じです。

・障害基礎年金を請求することができない。
※後遺障害をカバーしてくれる年金。利用する可能性が高い制度と言われます。
(ペースメーカー、人工透析、在宅酸素などの病気による障害も対象に。)
老齢基礎年金と障害基礎年金はどちらかしか受給できないので、差があまりない場合もあります。
障害基礎年金は満額の老齢基礎年金と同じような金額なので、納付期間が短い人く老齢年金が低めの人は障害基礎年金の方が有利になります。

・65歳になるまで遺族厚生年金が併給できない。

その他

「70歳」まで支給を繰り下げてもらうこともできます。
そうなると、受給金額が割増しになります。
増額の割合は「0.7%×繰り下げた月数」
ある試算によると、60歳支給開始と、70歳支給開始では、年金額が2倍も違うことがあるらしいです。

繰り上げて早めに受給するのが得か、また、繰り下げるのが得か、結局はその人の寿命によって変わってくるというところが、厄介な所です。
目安となる期間について、わかりやすい説明がありました。

なお、支給が始まるときに確定した金額は、一生変わりません。つまり、繰り上げ支給した人は、どこかの時点でしなかった人よりも総支給額が少なくなります。
「繰上げ支給」の場合、支給が始まってから「16年8カ月」で、繰上げ支給をしなかった場合よりも年金累計額が少なくなります。
例えば、60歳から繰上げ支給をすると「76歳8カ月」までは、繰上げ支給の方が累計額が多く、それ以降は、普通に65歳から受給した方が多くなります。

「繰り下げ支給」の場合は、支給が始まってから「11年10カ月」で、繰り下げ支給をしなかった場合よりも、年金累計額が多くなるそうです。
繰上げ支給の「16年8カ月」と繰上げ支給の「11年10カ月」が目安の期間ということです。

3 大学生の時、年金納めてないけど、、、

kojiが大学に入学したのは、昭和57年4月。大学在学中に20歳を迎えました。当時は、学生は任意加入でしたから(実はそのことは最近知りました)貧乏学生だった私kojiは当然年金保険料を納めていません。回りもそうでしたし、気にしたことはありませんでした。

改めて調べてわかったのは、「学生の時に年金を納めていなかった場合、国民年金は満額受給出来ず、今からさかのぼってその2年分を納めることもできない」ということです。
そして、「学生(夜間制、通信制、各種学校を除く)であって国民年金に任意加入しなかった期間」が年金加入期間としては認められるということです。

国民年金の満額は20歳から60歳まで40年間納めた人に支給されます。納入期間が少ない人は、月単位で計算され、その分減額されます。kojiの場合は4月生まれで、2年間ですから、24か月分納めていません。【納める期間】→(480か月-24か月)→456/480=0.95。つまり満額の95パーセントの支給になるということです。現状の満額は月にすれば6.5万円。その95パーセントの支給だと、6.2万円くらい。満額からは、月3000円くらいは少ないことになります。

※国民年金の受給額の平均は、現在5.5万円くらいだそうです。満額納付できなかった人は少なくないようです。

「受給資格期間」について

「受給資格期間」に満たない人は、保険料を納付してきたとしても年金を受けることはできません。それは25年でした。20年しか納めなかった人は、無年金ということになっていました。
最初にも書きましたが、平成29年8月1日から、その期間が10年に短縮されます。無年金の人を減らすという狙いがあります。しかし、年金額は保険料の納付期間に応じて増えるので、国民年金の場合、加入期間が10年(納付期間も10年)で月約1万6千円、20年(納付期間も20年)で約3万2千円と低くなります。加入期間は10年でも、減免されていた期間がある場合は、その状況によって年金額はさらに減額されます。

年金について、昔の大学生と今の大学生の違い

現代の若者は学生でも納める義務があります。ただ、「学生納付特例制度」というものがあって、所定の手続きをすれば、納付が猶予されます。猶予された期間も、加入していたこととして、「受給資格期間」のカウントになります。
しかし、受け取る年金額は納めた月数によるので、納めていない期間があると、私たちと同じように、それだけ年金額は減ります。

大学生の年金保険料納付について、
私たちの時には任意だったから、何もしなくてもよかった。現在は義務だから、手続きをしなければならない。この点が違いだということがわかりました。

「年金」をざっくりつかむ

国民年金(老齢基礎年金)は、20歳から60歳までの40年間保険料を納付し、65歳から死亡するまで年金を貰うことを基本としています。
実際には、保険料の納付期間が40年の満期という人は少なく、2017年8月からは「10年以上」加入者であれば、年金が受け取れます。

(1)公的年金=国民年金・厚生年金
国の機関がまとめて管理し、支給される金額も決まっています。
国民年金は、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金というように、「基礎」がつきます。
厚生年金は、老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金となります。
公務員・私立学校教職員などが加入していた共済年金は、平成27年11月に厚生年金に統一されました。

(2)確定拠出年金
企業や個人が自分で積み立て投資をします。成果によって受け取る金額が変わってきます。企業型と個人型があります。

企業型は会社が毎月、運営会社に掛け金を納入します。加入者である本人は、資産配分を検討し、運用指図をします。個人型は個人が自分で運用会社を決め、掛け金の金額を決めて、運用指図も進めます。

調べてわかった!「そうだったのか」ということ。

知らないことが多すぎて(学ぶことが多すぎて)我ながらびっくりしました。なるほど、そういうことだったのかということがたくさんありました。この時期に年金のことを勉強できてよかったなと思います。

繰り上げ支給にしている人がけっこう多い

元気で65歳まで働ければいいのですが、そうもいかない現実があるようです。調査によると、繰り上げ支給にした理由は、男性では「年金を繰り上げないと生活出来なかったため」が多くなっています。女性の場合は「減額されても、早く受給する方が得だと思ったため」が多くなっています。また、「生活の足しにしたかったため」という回答も多いそうです。この3つが、繰上げ支給の主な理由。
寿命によって、お得感が変わってくるという年金制度の難しさを感じました。

60歳定年退職後も「2年は働いた方がいい」理由

上にも書いたように、大卒で就職した古い世代の人たちは、国民年金480か月の満期に対して24か月不足している場合が多いわけです。今から、追加で納めることはできません。60歳以降に納めることもできません。
しかし、厚生年金は60歳を超えても70歳まで保険料を納めることが出来ます。(納める額が多くなれば、受け取る額も増えます。)
月々給料から天引きされる厚生年金の保険料は、実は国民年金の保険料を含んでいます。つまり60歳以降も厚生年金の保険料を納めたとすると、そこに含まれている国民年金の保険料分は、自分の受け取りには反映されないことになります。62歳まで厚生年金保険料を納めたとすると、24か月分国民年金の保険料を納めすぎているということになります。

60歳以降の厚生年金保険料に含まれる国民年金保険料を、満期480か月に満たない分に充当して考えるという仕組みがあります。経過的加算と言います。充当したうえでの国民年金(480か月が限度)と実際の支給額の差額が、経過的加算として老齢厚生年金に加算されるのです。

基礎年金は増えませんが、経過的加算が厚生年金に加算されると40年満額と同じことになります。国民年金456ヶ月の納付だと、満額よりも月々3000円ほど低い額になりますが、62歳まで厚生年金保険料を納めると、その低い分の3000円ほどが、老齢厚生年金に補われるということです。

これも、目から鱗でした。
60歳から65歳まで、どんな仕事でもいいなと思っていましたが、最低でも62歳までは厚生年金のあるところで働きたいなと思うようになりました。

老齢年金支給開始は男女で違いがあった

最終的には全員が65歳からの支給になりますが、現在は移行期間。生年月日によって支給時期が違っていることは知っていましたが、性別によっても違うということに今回初めて気づきました。

H28年3月に60歳定年退職した知り合いの女性は、再就職の誘いがあったにもかかわらず、きっぱりと断っていました。その迷いのなさが、少し不思議な感じでした。ご主人の収入があるから大丈夫なんだろうけれど、、、
しかし、今回わかりました。H28年3月に60歳ということは、生まれは昭和30年4月2日~昭和31年4月1日。女性の場合は老齢厚生年金は60歳から支給されるのでした。
再就職しなかったのは、厚生年金支給が始まったからだけではないでしょうが、大きな理由ではあったと思います。今まで引っかかっていたことがスーッと消えました。
同じ時期に定年退職を迎えた男性は、多くの人が再就職を目指していました。62歳からの老齢厚生年金の支給までは、ということでした。「男はつらいよ」だなと思いました。

1963年(昭和38年)生まれの私たちも、男は65歳完全実施ですが、女性は63歳から老齢厚生年金が支給されます。同級生の女性たち、あの人たちは、一足先に年金生活に入るのかなと、ちょっとうらやましく思ったkojiでした。