最先端の医療技術を見ると、希望がわいてきます。病気にはもちろんなりたくありませんが、仮になってしまっても治るんだ、と思うと心強くなります。

2017年1月25日(水)放送のWBSで、「治る!最前線」をやっていました。67回目。「肝臓がんの治療と検査」です。肝臓がんは症状がないまま進行します。厄介な病気です。

肝臓がんについて

取材先は、福岡県にある肝臓病の専門病院。久留米中央病院。

59歳のKさんは、1ヶ月前、足のむくみを感じ病院で検査を受けたところ、肝臓がんであることがわかりました。
検査結果の画像を見ながら医師から説明されました。10cm を超える腫瘍があるとのことでした。

Kさん
「足がむくんで、お腹がむくんで。入院したらがんだと言われた。びっくりした。急に出てきてね。」

これといった、症状がなかったということですね。肝臓がんは気づかないうちに進行するのです。

年間およそ3万人が命を落とす肝臓がん。
主な原因は
・肝炎ウイルスの感染
・高カロリーの食事
・過度の飲酒  など

最近は、糖尿病などから肝臓がんになるケースも増えています。

肥満などで肝臓に脂肪がつくと、やがて肝硬変になり、5年から10年かけてゆっくりと肝臓がんを引き起こすということ。

久留米中央病院 板野哲院長
「徐々に肝硬変に近づくし、肝臓も硬くなりますし、がんもできる。間が破れてお腹の中に出血したりした時に、わかるっていうようなことが多いですね。」

肝臓がんの最新治療・・・ピンポイントでがんを攻撃

取材:久留米中央病院。

56歳のTさんは、2年前に肝臓がんを手術し、肝臓の3分の1を切除しましたが、1年後に再発。見つかった時は手術ができないほど進行していました。そこで、Tさんは最新の抗がん剤治療を半年前から続けています。

マイクロカテーテルという治療器具を使った治療。ピンポイントでがんを攻撃します。

治療手順の説明

・まず腕に針を刺す。
・マイクロカテーテルという治療器具(直径わずか0.64mm)を先程刺した針の中に入れていく。
・血管の中を通して、肝臓がんの近くまで挿入。医師がレントゲンの画像を見ながら慎重にマイクロカテーテルを入れていく。

手術室ではここまで。これで準備は完了。

・病室に戻る。
・看護師が治療に使う抗がん剤【5-FU】(ラベルには、NIPROシュアーフューザーAと書いてありました。)をマイクロカテーテルにつなぐ。
※48時間かけて、ゆっくりと投与する。

これまでの太いカテーテルの欠点

がんの近くまで届かないため、抗がん剤が拡散。
効果は半減し、副作用も大きかった。

マイクロカテーテルの長所

・がんの手前まで届くため、ピンポイントで投与できる。
・副作用も減り、治療効果も向上する。

Tさんは、3週間に1回入院して治療を続けている。病状が軽い患者は、通院でも治療可能だとのこと。Tさんは、「自由に動ける。」と言っていました。つらそうな様子は見えませんでした。

ある患者の検査画像が紹介されましたが、治療1年後、がんが小さくなっていました。

治療は保険が適用され、患者の負担はおよそ8万円。

久留米中央病院 板野院長
「1回では治療できない大きながんでも、反復分割して治療することで徐々に腫瘍量を減らして、根治に導くことができる。」

おじさんは思った

治療費について「患者の負担は8万円」と言っていましたが、これは1回の入院につき8万円ということだろうと、思います。そこのところは、見逃してはいけないと思います。

Tさんの場合3週間に1回、8万円ということだと思います。
根治まではとても大きな額になると思われます。紹介された他の人の検査画像では、1年続けて「だいぶ小さくなった」ということでした。人により根治までの治療期間はそれぞれだと思いますが、、、。1年は52週ですから3週間に1度なら年に17回行われることになります。

実際には、高額療養費制度の適用になる月も多く、8万円×17回=136万円よりは自己負担額は少ないでしょうが、一般家庭にとっては覚悟が必要な金額だと思います。

カテーテルは、血管内治療という分野だと思いますが、そのコストはとても高いということを、知りました。実際の医師が書いた記事です。

血管内治療、カテーテル治療のコストからこの国の医療費を考える

カテーテル治療はコストがかかるようですね。安全第一ではありますが、競争原理などがうまく働いて、コストが下がってくれればと思いました。

肝臓がんを予防するための新しい検査

取材先:神奈川県川崎市、新百合ヶ丘総合病院。
最新の検査=「MRエラストグラフィ」

41歳の川下さんが検査を体験。
川下さん
「家系的に肝臓が悪い人が多いので、不安はあるんですけど。」

検査の実際

使うのは円盤状の装置。
まずこれをお腹に取り付ける。装置には、チューブが繋がっており、空気を送りながら検査をする。

「それではお腹が触れる検査をしていきます。」と検査する人がアナウンス。

お腹に取り付けた円盤に空気を送ると、肝臓が振動し、波紋ができる。
肝臓がやわらかい場合は、波紋が沢山できる。一方、肝臓が硬いと、波紋ができにくい。この波紋の形から、肝硬変の進行度を判断する。

およそ20分で検査が終了。

検査結果について

川下さんの(検査画像の色は)青なので、「硬くはなっていない。」という診断でした。
肝臓がやわらかいと青く、硬いと赤く表示されるとのこと。

ある肝硬変の患者の検査画像は、肝臓全体が赤く表示されていました。

「MRエラストグラフィ」という検査について

検査費用は3万5000円(自由診療)

新百合ヶ丘総合病院 消化器・肝臓病研究所 井廻道夫所長
「糖尿病がある人、肥満の人、肥満がなくてもがん家系と言われるような人は、リスクが少し高いでしょうから、調べておくと良いと思いますね。」

再度、おじさんは思った

おなかを震わせて、肝臓の振動を検査するというのは、原理としては原始的な方法のように感じました。肩を触ってみて、「凝ってますね!」というのと近いような。
実際に触ることが出来ないので、いろいろな器機が必要なのでしょう。手で触って「あ、あなたの肝臓硬いわ。」といえる医者はいないのでしょうか?

はっきり言って、気軽に受けられるような値段ではないと思いました。有効な検査なら、早く保険適用になってほしいです。検査の頻度は、毎年でなくてもいいのでしょうか。そこが気になりました。