個人の税金、第一歩

個人の税金は1月から12月という区切りで計算されます。
12月には年末調整が行われてサラリーマンの所得税の微調整が行われますし、3月に行われる確定申告も、「年度分」ではなく「年分」となっていますね。

税金の話で前提となるのは、収入と「課税対象の金額」は違うという事。年収がいくら多くても、課税対象になる金額が少なければ払う税金は少なくなります。
「控除」というのは、課税対象の金額を減らせるもの。控除が多くなれば課税対象金額が少なくなり、税金は安くなります。事業をしている場合は「経費」も収入から差し引かれますね。

さて、2017年の年末に自民党の税制改正大綱が発表され、サラリーマンの所得税控除やすべての人に関わる基礎控除に手が入れられましたが、それが確定するのは、2018年はじめの国会。実際にそれが運用されるのは、19年1月からです。この所得税控除の改正は年収850万円超のサラリーマンについて、増税になる内容。kojiたちの年代に関わりが深く、気になるところですが、その前にしっかり確認しておかなければならないことがあります。

2018年1月から配偶者特別控除が変わる

実は昨年度(2017年度)の税制改正で決まった「配偶者特別控除」についての新しい運用は、この2018年1月から行われています。一番大きなポイントは配偶者が150万円まで働いても「配偶者控除」と同額の38万円の控除が受けられるようになったという事です。(去年までは配偶者の年収が103万円を超えると控除額が減り始める)
配偶者控除を38万円満額受けられる基準を使って103万円の壁と言っていましたが、配偶者特別控除の内容が変わり、38万円の控除が受けられる配偶者の年収が150万円までになったので、そのことを150万円の壁と呼ぶようになりました。

・配偶者控除は38万円=配偶者が基準以下の収入であれば、本人の税金を計算するとき収入から38万円を差っ引くことが出来る。税率が20パーセントの人の場合、年7万8千円税金が安くなる。

配偶者特別控除は、配偶者控除の基準額を超えた場合の救済措置といえます。子どもや親などの扶養控除の場合は基準額を超えたときには、控除額が一気に0円になってしまいます! 配偶者の場合は、基準額を超えたときには段階的に控除額を減らしていきますよという事になっていて、それが配偶者特別控除です。
新しい制度では配偶者の年収だけでなく、本人の年収にも段階がついて場合分けされたので、より複雑になっています。
わかりやすくまとめられた表が載っているサイトを紹介します。
配偶者控除の上限は150万?社会保険への影響が気になるところ??

配偶者に関する控除(配偶者控除と配偶者特別控除)の事だけを見れば、今まで103万円を超えないようにしてきたパート収入を、150万円まで増やしてもいいのだといえます。
ただ、他のこともよく考えなければ、働き損と感じるかもしれません。

大事な、大事な注意点

130万円超で社会保障費の負担が発生

年収130万円を超えると、年金や国民健康保険料といったいわゆる社会保障費を納めなければなりません。
収入が増えても社会保障費の負担が大きくなることで、実質的な所得がそれほど増えないということがあり得ます。
いわゆる130万円の壁。これは家計全体にすごく大きな影響をあたえます。kojiとしては、この壁を超えないほうが良い場合が多いのではないかと思っています。

参考にしたサイトのリンクを載せておきます。
130万円の壁は配偶者控除どころの話では無い?
配偶者特別控除「141万円の壁」は201万円に!

103万円を超えると、所得税が発生

103万円を超えると配偶者収入にも今まで課せられていなかった所得税が課せられることになります。これまでは配偶者控除の基準額と、所得税がかかり始める金額が同じ103万円でした。今回改正されたのは、配偶者控除のほうだけでだということにも注意しておかなければなりません。

給与所得者の所得税についての補足

給与所得者には、給与をもらっている人全員が対象の給与所得控除があります。経費が計上できない代わりということらしいです。給与等の収入額によってその額が変わってきます。年収180万円までは給与所得控除は65万円。
そして、働く人がみな対象となる基礎控除というのがあって、それが38万円。
年収180万円以下の場合、給与所得控除65万円と基礎控除38万円の合計103万円が収入から差っ引かれた残りに対して所得税がかかります。

つまり、103万円以下の人は、課税対象になる所得が0円となり、所得税は納めなくてもよいわけです。これは、配偶者控除とは別の話。103万円を少し超えたところでは税率が低いので、所得税が課税されるといっても目の玉が飛び出るような額ではないですが、新たな支出が増えることは確かです。

所得税の税率はこちら → 所得税の税率(国税庁)

年収130万円の場合で、給与所得控除と基礎控除以外の控除がないとすれば、
130 – 65 – 38 = 27万円・・・課税される所得・・・上の表によると税率は5%
27 x 0.05 = 1.35万円・・・年間で納めることになる所得税。
住民税も納めなければなりません(納付は次の年)。住民税は課税される所得の大体10%程度です。

注意点のまとめ

配偶者の年収を増やすときには、130万円を超えた時のことをシミュレーションすべし。
103万円を超えると、配偶者自身の所得税・住民税を納めることになり、、
130万円を超えると社会保障費も納めることになります。

最後に、森永卓郎氏がラジオで解説していた内容がyoutubeに上がっていたので紹介します。
だまされないで!150万円の壁!配偶者控除の罠!財務省は頭いいね。森永卓郎 大竹まこと ゴールデンラジオ 2016年11月28日