アルツハイマー病は他人事ではありません。そして、知れば知るほど、予防したいし克服したいと思います。
2018/2/1(木)のWBSでは、アルツハイマー病になる可能性を、通常の血液検査で調べられるという、世界初の方法を島津製作所と国立長寿医療研究センターが開発したことを報じ、この検査方法開発チームの中心人物であるノーベル化学賞(2002年)受賞者の田中紘一さんの単独インタビューの内容を紹介していました。

世界初の検査方法

ノーベル化学賞受賞者 島津製作所 田中耕一さん
「今まで不可能だったことが、もしかしたら可能になって、根本治療薬の開発が加速できるのではないかなと思います。」

認知症の6割以上を占める、アルツハイマー病。国立長寿医療研究センターと島津製作所は、そのアルツハイマー病をわずか0.5ml の血液から発見できる検査法を世界で初めて開発し、科学誌 Natureの電子版に発表しました。

実現の鍵となったのが、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんが所属する島津製作所が開発した、質量の分析技術です。その技術について、田中さんみずから説明してくれました。【アルツハイマー病は発症の20年以上前から、脳の中に「アミロイドベータ」というたんぱく質が以上に蓄積するのが原因の一つと考えられています。】

田中 「血液検査で取った血液の一部を用いて、(アミロイドベータが)たまり始めであるかどうかを見分けられる、そういった手法を世界で初めて開発したということになると思います。」

検査の手順

・一般的に行われている採血を行う
・採血した血液から中に入っているわずかなアミロイドベータを磁石で引き寄せる
田中「血液には量が多いものから少ないものまで1億倍ぐらい量が違う。アミロイドのみをうまくくっつけてそれだけをうまく引っ張りだす、釣り上げるという事が出来るようになったのは、この方法の一番の肝(きも)になります。」
※不純物を取り除いた純粋なアミロイドベータを板に乗せて質量分析に入れて調べることで、どれだけアミロイドベータが脳内に蓄積されているかがわかる!

新検査法の意義

これまではアミロイドベータを検出するためには大掛かりな装置などが必要でした。
この技術により、採血だけでわかるようになると健康診断で、たまり始めの段階から発見できるようになるといいます。
田中 「早期にアミロイドがたまる状態を見れるということが、従来は、それがたまりきった後に対応していた例えば治療方法とか薬というもの、それでは残念ながら手遅れという場合がもしかしするとあるかもしれない。
そうではなく、たまり始める状態をこの方法で初めて見られるようになったということになると、早期治療やそれ用の薬が出来る。」

発表を受けて島津製作所には、早くも複数の海外の製薬メーカーがアプローチしているといいます。株式市場も反応。島津製作所の株価は、一時、上場来高値を更新しました。

田中 「兆しがあったとしても、うまく避けられる方法ができれば、それはみなさん、当たり前のように日々を有意義に過ごせると思いますので、そういうのに貢献できたらいいなと考えています。」

新検査法の課題

大江 「安くて簡単で、しかも、早期に発見できるということで、かなり画期的な方法なんですけれども、ただ課題もあるんですね。といいますのは
アルツハイマー病の根本的な治療の薬ですとか、予防の薬はまだないんです。ですから、この検査法で発症のリスクがわかったとしても、その方というのは自分がいつ病気になるんだろうという不安にさいなまれるだけになってしまうということで、田中耕一さんたちの研究チームは、この技術をまずは創薬会社に提供しまして、治療薬の開発に役立てたいとしています。」

大浜 「大きな前進なのは間違いないですよね。」

アルツハイマー病について思う事

2025年には患者数が700万人に達すると推計される「認知症」の半分以上を占めるのが「アルツハイマー病」。アルツハイマー病は脳内に異常に蓄積した「アミロイドベータ」というタンパク質が原因の1つと考えられています。しかし、根本治療薬や予防薬はまだありません。

以前、親戚が大腿骨を骨折して入院した後、認知症かなと心配したことを書きました。
研ナオコも!大腿骨骨折はふとももじゃない

実は、その親戚が最近物忘れ外来を受診してアルツハイマー型認知症と診断されました。ショックでした。アルツハイマー病が一気にまじかに迫ってきたような気がしました。いままでぼんやりととらえてきましたが、切実な問題として症状や進行について調べるようになりました。下記のサイトを参考にしました。アルツハイマー病が進んでいくことにとても怖さを感じました。
アルツハイマー型認知症の症状と進行はどんな感じ?|認知症
アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)とは|初期症状や予防法など(「認知症ねっと」より

今回のWBSの内容は、新薬の開発ではありませんでした。新薬の開発にもつながることが期待される検査方法。番組中に大江さんもコメントしていましたが、発症リスクがわかっても手の打ちようがないならば、時には知らない方が良かったという事が出てくるかもしれません。なんとしても、早く根本治療につなげてほしいと思います。予防はもちろん、発症してしまった人にも効果がある治療法を待ち望みます。
アルツハイマー病の根本治療が可能になったら、それはノーベル賞レベルの功績だろうと思います。ノーベル化学賞がノーベル医学賞につながっていくというのはとても素晴らしいことです。期待しています。