2017年7月5日(水)のWBS。シリーズ、治る最前線では、潰瘍性大腸炎が取り上げられていました。
安倍総理が薬での治療を続けていることでも知られる、難病の潰瘍性大腸炎。実は、日本の難病の中で一番患者数が多いのがこの潰瘍性大腸炎だそうです。苦しんでいる人が多いという事ですね。しかし、原因がはっきりせず今のところ根治が難しいということのようです。

今回の治る最前線では、
・薬が効かないほど病気が進んだ患者のための最新治療と、
・重症化していない患者に有効な新しい治療法を紹介していました。

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは、原因不明の難病の一つで大腸全体の壁の粘膜が炎症を起こす病。炎症により腹痛や下痢、血便などの症状があらわれます。
患者数はこの10年で倍増し、現在およそ16万6000人。食生活の欧米化などが関係していると考えられているそうです。。

難病情報センターの関連ページ → 潰瘍性大腸炎(指定難病97)
煙草を吸う人に発症例が少ないという不思議な特徴もあるそうですが、、、。

医師
「症状が薬を使っても悪くなってしまうと、大腸を全部取り除かなくてはいけなくなってしまいます。」
潰瘍性大腸炎は正体がまだまだはっきりしない、恐ろしい病です。

重症の潰瘍性大腸炎の最新治療=「腸内細菌療法」

都内にある順天堂医院(文京区)にこの日診察に訪れたのは、50代の松本さん(仮名)。8年ほど前から潰瘍性大腸炎を患っています。
医師
「こういうふうに粘膜が剥がれている状況。」

写真で白く見えるのは大腸の壁の粘膜が炎症を起こし、剥がれ落ちた部分。正常な人と比べるとその違いは一目瞭然。白いところが多く、重症の状態です。

松本さん
「頻繁にトイレに行かなくてはならないとか。多いときで1日で20回弱くらいですかね。病気していなかった頃と同じ状態の生活が送れたらと。」

松本さんはこれまで薬を使った治療などを受けてきたが、重症化してしまっています。そこで、現在臨床研究中の最新治療を受けることになりました。

使われるのは大腸用の内視鏡カメラ。さらに、今回の鍵となるのが注射器に入った液体。

医師
「腸内細菌を多く含んだ便汁を調整したもの。」

この液体に含まれているのは腸内細菌。健康なドナーの便を、生理食塩水と混ぜ、不純物を取り除くなど、安全な処理を施しています。今回は、これを大腸に移植する、腸内細菌療法が行われるのでした。

大腸には100兆個とも言われる様々な種類の腸内細菌が住みついています。最新の研究で、潰瘍性大腸炎の患者は健康な人と比べて細菌の種類が少ないなど、腸内細菌のバランスが乱れていることがわかりました。

今回の治療では、患者はまず2週間抗生物質を飲み、もともとある腸内細菌を減らし、内視鏡を大腸に挿入し、その先端から健康なドナーの腸内細菌を移植します。
こうして腸内細菌のバランスを正常にし、症状を改善させます。

治療の様子が紹介されていましたが、kojiが受けたことがある内視鏡検査とほとんど変わらない感じでした。

内視鏡を大腸に挿入し、内視鏡の先端を大腸の奥まで進めて行きます。5分ほどで内視鏡が一番の奥にまで到達。
そして、いよいよ腸内細菌の出番です。

注射器を内視鏡に取り付け、移植開始。移植するのはおよそ240cc。
大きな副作用は特にないそうです。副作用がないというのはうれしいことですね。
内視鏡カメラは、腸内細菌を含んだ液体の様子をとらえていました。移植は無事に終了しました。

これまでおよそ70人に治療を行い、短期間(1~2か月後)ではおよそ7割の患者の症状が改善しているそうです。
今後はさらに長期的な治療効果を確かめていくとのこと。
臨床研究段階のこの治療は、条件を満たした患者を選び行われています。

順天堂大学消化器内科 石川 大准教授
「我々は、一過性の寛解(状態がよくなること)ではなくて、根治・完治というものを目指してこの臨床研究を真摯に進めているというところです。腸内細菌療法というのを確立できれば、一つの選択肢として非常に有効なのではないかと。」

順天堂大学の関連ページ
潰瘍性大腸炎に対しての抗生剤療法と糞便移植療法の臨床研究について

重症化していない患者に有効な治療法=「血球成分除去療法」

治療を受ける石井さん(仮名)は15年ほど前から、潰瘍性大腸炎を患っています。
石井
「腹痛が一番ひどいのと、血便ですね。夜中も結構痛みがひどかったりするので、眠れない時もあるので。」

石井さんの治療が始まりました。石井さんは横になっています。まずは左腕の静脈に針を刺し、そこにチューブを取り付けました。

医師
「左手から血液を抜いて、機械に通して右手にかえします。」

治療開始です。チューブから血液が吸い上げられ、機械に送られます。行われているのは血球成分除去療法という治療。

大腸の炎症は、本来細菌などから体を守る血液中の白血球が、何らかの原因で活性化し、大腸の壁を攻撃することで引き起こされます。
その活性化した白血球を取り除くのがこの筒の中にはいった丸い特殊なビーズです。このビーズは、活性化した白血球を吸着する働きがあり、血液中から取り除くことができるそうです。白血球が取り除かれた血液を再び体に戻し、炎症を抑えるということです。

副作用がほとんどないのが、この治療の大きなメリットとのこと。腸内細菌療法もそうでしたが、副作用がないというのは、私にとってはとても大事なことです。kojiは、知り合いが薬の副作用でかなり苦しんだ姿を見たことがあるので、副作用という言葉には、敏感です。

この、血球成分除去療法は、1回およそ1時間の治療を合計10回行います。この治療を7回受けた石井さんはその効果を実感しているそうです。

石井
「腹痛も今は全然ないですし、良好です。」

治療費は3割負担でおよそ5万円。しかし、難病である潰瘍性大腸炎は病状に応じて負担額を低く抑えられることもあるそうです。いろいろと相談したり、調べてみるといいでしょうね。

順天堂大学 消化器内科 澁谷智義 准教授
「軽症~中等症の患者さんが使われるかと思うんですが、有効率は6割程度となっています。潰瘍性大腸炎の治療においては、かなり効果がある方と考えます。」

おわりに

難病と聞くと、気持ちは落ち込んでしまうと思いますが、この潰瘍性大腸炎に関して言えば、早めに対処していけば生活レベルをあまり落とさずに過ごしていける可能性が高そうです。治療法の進化により、救われる患者はさらに増えていくと思われます。頼もしいです。

ただ、きちんとした治療を受けるためには、正しい見立てが必要だと思います。その点、地方では心配もありますね。治療法だけでなく、見立て(診断)についてもどんどん技術が進んでほしいと思います。通信技術の発達も地方を救うようであってほしいです。