土曜ドラマ「夏目漱石の妻」第2回を見た!橋田賞を受賞をきっかけに

『渡る世間は鬼ばかり』で有名な橋田 壽賀子氏が理事を務める「橋田文化財団」により創設された「橋田賞」。”日本人の心や人の触れ合いを取り上げ、放送文化に大きく貢献した番組や人物”に贈られます。

2017年5月10日、第25回橋田賞の授賞式が行われました。橋田先生も出席していました。「私は見てないんですけど。」と素直に白状して会場を沸かせていたそうです。ニュース映像で、見ましたが92歳とは思えないですね。お元気です。

受賞していない星野源について「星野源さんにあげたかったです。」などという言葉も。橋田先生だからこそ許される言葉です。

土曜ドラマ「夏目漱石の妻」

評判の高かったドラマです。漱石の妻・鏡子が夫婦について語った「漱石の思い出」を原案に、漱石の資料と作品を参考にして、夫婦のリアルな姿を描いた作品。主人公の妻・鏡子を尾野真千子が、夏目漱石を長谷川博己が演じました。

授賞式に参加した長谷川は「文豪をやるというのが一つの夢で、夏目漱石役をやらせていただけるというお話があったときはものすごく感動した」と回顧。「ずっと夏目漱石でいたいなと本当に思いました」・「この賞をいただいたことをきっかけに、続編とかスペシャルとかできたらいいなと思っています」スピーチしたそうです。

2016年は夏目漱石没後100年。夏目漱石が何かと話題に上りました。2017年は生誕150年です。kojiもこのドラマの事は気になっていました。ただ、第1回目をうっかりスルーしてしまいました。第2回から第4回目までは録画しました。しかしそのまま、放置。
今回、橋田賞受賞のニュースをきっかけに見てみることにしまいした。

第2回を見ましたが、この回だけでも十分楽しめました。

第2回「吾輩は猫である」の感想

漱石のロンドン時代は大変苦しいものだったというのは、ずーっと昔に関口宏の「知ってるつもり」という番組で見た記憶があります。私kojiとしては、「そこを再現されるのは、つらいな」と思っていました。今回のドラマではその所は全然触れずに、帰国後の漱石になったので、個人的にはとても良かったです。

話しには聞いていましたが、夏目漱石の癇癪(かんしゃく)は、激しかったのだなと、実感できました。家族としては本当に大変だったと思います。癇癪というレベルではなくて、本当に病的ですね。子供たちも、心に傷を負うのではないかと思いました。妻子が実家に帰るのも当然です。

この第2回で一番印象的だったのは、妻鏡子が東大の医師から「れっきとした病気です。」と聞かされる場面。夏目金之助が暴れるのは自分のせいではなくて、「病気」のせいだと分かって、鏡子には喜びと元気が湧いてきました。これは、現代においても実際にある場面だと思います。こころの病に冒された人の家族は、自分を責めてしまうことが多いようです。しかし、それが、病のためだとはっきりすると立ち向かう勇気が出てきます。戦う相手は病なのです。

夏目金之助の病と闘う勇気、家族として看病するという決意を得て、実家から戻ってきた妻鏡子は強くなりました。子供たちもそんな母の姿を見て、心が定まったと思います。
とてもいいところでした。

妻の鏡子は筆不精で、ロンドンの金之助にはあまり手紙を書かなかったということを聞いていました。(長女に筆子と名付けたのは面白いなと思います。)なんとなく、情の薄い女性だったのかなと勝手に思っていましたが、それは思い違いだっなと反省しています。傾きかけた実家で、幼子を抱えていて、ゆっくり手紙を書く余裕はなかったのだろうと思います。まして、気難しい金之助相手ですから、気安くは筆をとれなかったのだろうと同情します。

福猫について

ドラマの中で、夏目家に来るようになった黒猫を抱いた女性が「爪まで真っ黒。これは福猫」と説明していました。検索してみたら、実際に爪が黒い猫はいるようですね。

ただ、福猫は黒猫に限らないというとらえ方もあるようです。kojiも若いころ、ふと訪れた猫にこころ慰められたことがあります。本当にあの時は助かりました。救われたという感じです。トラ猫でしたが、あれは福猫だったと思います。1か月ほどで引っ越しすることになり、短い付き合いでしたが、いまだに思い出し、感謝します。

ネコには本当に不思議な力があるなと思います。子供たちも家を離れたので、実は猫を飼うことを考え始めました。

おじさんは考えた

見逃した(録画していない)第1回目が気になって仕方がありません。ゆくゆくはDVDかブルーレイになるのかなと思いますが、、、
2017年は生誕150年ということですから、まだ夏目漱石は話題となることでしょう。ひょっとしたら、NHKもそれを意識して、再放送してくれるのではないかと期待しています。(造幣局からは夏目漱石生誕150周年貨幣セットが発売もされました。)

漱石が「吾輩は猫である」を書いたのは37歳の時。それをもって小説家としてデビューしたのは翌年。亡くなったのは満50歳目前の49歳。作家としての活動は12年しかありません。それなのに、誰もが名前を知る作家です。「こころ」は高校の教科書にもいまだに載っているようです。世の中の様子は変わっても、心の描写は全く古くありません。今でも通じる作品です。

あるとき、漱石のデビューの遅さを知って、「スタートするのに遅すぎることはない」と勇気づけられました。(私kojiはすでに夏目漱石死去の年齢を過ぎてしまいましたが。)
何か始めたいなとなったとき、50過ぎたから、、、という言い訳などはしたくないなと、改めて思いました。

付録

鏡子の目から見た夏目漱石です。ドラマのもとになった本。

●参考にしたサイト
NHK 土曜ドラマ「夏目漱石の妻」
新!夏目漱石 新潮文庫

(各回の概要)
・第1回「夢みる夫婦」[2016.9.23]
裕福な家庭に育った中根鏡子(尾野真千子)は、高級官僚の父・重一(舘ひろし)にすすめられ、夏目金之助(漱石の本名・長谷川博己)と見合いをする。二人は結婚、金之助の赴任先熊本で新婚生活を始める。金之助は家庭の温もりを知らない気難しい人物あった。夫のために家事や様々なことに頑張る鏡子だったが、、、、。

・第2回「吾輩は猫である」[2016.10.1]
英語研究のため夏目金之助はイギリスに留学、鏡子は東京の実家の離れで暮らすことに。ほどなく金之助は神経衰弱で様子がおかしいという噂が鏡子の元に届く。月日がたち2年余りの留学を終えて金之助が帰国。金之助は急に暴力を振るうような人物に変わっていた。

・第3回「やっかいな客」[2016.10.8]
夏目金之助の書いた小説「吾輩は猫である」が評判を呼び、金之助は一躍作家として有名になる。教師をやめて作家になることに興味を示す金之助、猛反対する鏡子。そんなある日、金之助の養父の塩原昌之助(竹中直人)が、夏目家にやって来るが、、、。

・最終回「たたかう夫婦」[2016.10.15]
最近夏目金之助が女流作家の大塚楠緒子(壇蜜)と親しくしていると知った鏡子は、気分が穏やかでなかった。そんなある日、夏目家に親しく出入りしていた足尾銅山の元坑夫・荒井(満島真之介)が、失踪。一方小説執筆で忙しい金之助は、持病の胃の病の療養のために修善寺に行くが、、、。