●相続登記を意識するようになったきっかけ

2024年1月28日、北海道新聞の広告ページに目を奪われました。
「いよいよ今年!2024年4月から始動!
相続登記義務化」
という見出しです。函館司法書士会が出している広告でした。

25年くらい前に父が亡くなり、わずかな土地が残されました。
田舎の原野でしたから、固定資産税はかかっていない土地です。
特に困ることもないので、手続きをついつい先延ばしにしてきてしまいました。
しかし、今回「義務化」されることになったのです。なんと放置した場合には罰則もあるようです。
「手続きしなきゃ」という気持ちが一気に高まりました。

 その後、罰則適用までには3年の猶予があることが分かり、「焦らずにやろう」という気持ちになれました。
 そうでなければ、慌てて司法書士に丸投げしていたかもしれません。

重い腰を上げて、連絡と相談をした
まずは、弟2人に連絡をしました。これまで、この土地のことについてはきちんと相談をしたことがありませんでした。母は父よりも先に亡くなっていたので、相続人は私たち息子三人です。私が長男で、田舎に一番近いところに住んでいるので任せたつもりになっていたかもしれません。
ただ、何かと費用や手間がかかることでしょう。この機会に「義務化」「罰則」という情報、そして「相続人は三人なので、責任を分かち合ってほしいこと」を伝えました。
幸い、二人とも協力することを約束してくれました。

相談は、上に書いた新聞の広告ページに記された「無料相談」を利用することにしました。このようなことがとてもおっくうだったのですが、この広告は強く背中を押してくれました。

●司法書士に会う(無料相談)

新聞広告を見ながら、自宅に一番近い事務所に電話連絡。アポを取って会いに行きました。
とりあえず、登記簿謄本を持っていきました。

すべてが終わってから、書棚の隅から「権利書」を見つけ出し、「あったのか、、、」と愕然としました。)

司法書士さんは、簡単に事情を確認した後、見積もりをしてくれました。
総額は72418円。

●自分でできないものか? ・・・できました!

以前、ブックオフで「相続登記は自分でできる」という内容の本を見かけたことがあったので、改めてネットで検索。

「自分で登記.com」というサイトがすぐ見つかり、その教材を購入することに。
3千円で済むなら、多少面倒でも自分でやっていこうと決意しました。

購入したテキストでは、「登記は本来自分ですべきもの」ということが一貫して語られていました。読んでいるうちに、「きっと自分でできるはず。」という気持ちになってきて、弟たちに、司法書士には頼まないと宣言して、登記作業を続けていくこととしました。
実際にテキストに従って作業していきました。
一つ一つこなしていけば、進んでいきます。
役所に電話したりという面倒さはありますが、難しくてできないということはありません。

最寄りの税務署にも何度か電話しましたが、大変丁寧に教えてくれます。

購入したテキストをベースしながら、法務省民事局の資料なども参考にしました。
この法務局民事局の「登記申請手続きのご案内(相続登記①/遺産分割協議)」はとても役に立ちます。

私が購入したテキストがなくても、これだけでやれる人はやれるのではないでしょうか。
ただ、問い合わせをしても私の場合は返事が返ってくることはなかったので、つまずいたときには、民事局のテキストだけでは行き詰まるかもしれません。
生成AIを上手に活用すれば、ハードルは随分と下げることができると思います。

テキストなどで解決できない時には、所轄の地方法務局、または支局に直接問い合わせることが有効だと思います。
私も何度も電話をして、必要なことを教えてもらいました。前にも書いた、権利書が見当たらず、附票も取れない時には「不在住証明」によって、何とかすることができるというのは、テキスト類には書いていないことです。(実際、レアケースではあったと思いますが。)

また、書類を発行してくれた実家の町の役場にも、何度も問い合わせをしました。親身になって相談に乗ってくれました。

今、私が実際に行ったことを書いたとしても、個別の例に過ぎないと思います。
信頼できるテキストを用意して、(法務局民事局のテキストは無料)、それに従って粛々と進めていくことをお勧めします。

これから自力で相続登記しようと思っている方へのアドバイスを改めて書いておきます。
・関係する人(例えば兄弟など)と連絡をしっかり取っておくこと
・具体的な締め切りを設定すること。それに対して安易に妥協しないこと。
・面倒がらずに役所に問い合わせすること。
・「できるかどうか」ではなくて「やるかどうか」です。
・かかったお金は数千円でした。主に書類を取り寄せるためのものです。
(書類の取り寄せは、自治体によってはコンビニでもできます。)

作業の進捗をまとめます。
 令和6年2月20日・・・司法書士に会い、見積もりをもらった
 3月6日・・・「日本登記研究会」(自分で登記.com)のメルマガ登録
        メルマガ受信8回(5月1日まで)
        テキスト購入
 8月20日・・・テキスト購入
         戸籍関係の書類取り寄せ開始
 9月24日・・・分割協議書について、兄弟でLineで打ち合わせ。
         作成後、兄弟へ郵送→転送→回送。
 9月27日・・・父の死後、自治体のシステム変更などのため住民票の除票が取れなくなっていることが発覚。
         権利書も見当たらず、法務局へ相談。
          ”「不在住証明書」+「固定資産評価額通知書」(原本)”で代用できることがわかった。
         自治体は、「不在住証明書」発行が珍しいことなので、やや困っていた。
           最終的には、発行してもらえた。
 9月30日・・・相続関係図作成
 10月16日・・・「登記申請書」作成→法務局へ送付。
 10月29日・・・登記完了!

かかった費用は、主に戸籍関係の書類の取り寄せに6000円くらい、相続人それぞれが印鑑証明や住民票を取るための費用1000円くらい。兄弟間で書類を回すときの郵便代(私たちはレターパックを使いました。)
法務局へ登記申請をするときの「登録免許税」は評価額が低かったので無税でした。

費用が全く掛からないわけではありませんが、かなり圧縮できました。
副産物ですが、先祖の戸籍を入手しなければならないことになり、今まで知らなかった親戚の関係が分かったことも私としては、意味がありました。
改めて、自分でやってよかったなと思います。