下咽頭がんの治療について(治る!最前線から)

新年、あけましておめでとうございます。
だんだんと、健康のことを意識するようになってきました。

年頭の第一の目標は、「元気に一年間過ごすこと」です。
50歳を超えて、同じ思いの方も多いことと思います。

健康に関するテレビ番組を録画することが多くなりました。
それとは別に、「WBS」はいつでも見られるように毎回予約しています。
前回も書きましたが、「治る!最前線」

2015年11月26日(木)はがんの話でした。
手術によって声を失うことが多い、”下咽頭がん”のこと。

『治る!最前線 第53回 声を残せ!下咽頭がんの最新治療』

声も命も守る新しい治療が始まっているそうです。
この新たな治療というフレーズにはいつも、心惹かれます。

下咽頭がんについて

埼玉県の防衛医科大学校病院。
入院中の60代の男性。
2015年8月、喉に異常が見つかりました。

内視鏡で患部を確認します。
下咽頭という場所に、白く盛り上がった腫瘍がありました。
がんです。

●病の説明

喉の下の部分には、気管と食道という二つの管があります。
食道に繋がる部分が下咽頭です。

近くには気管につながる喉頭、その中には声を出すための声帯があります。

下咽頭がんになると飲み込みにくい、声が枯れるなどの症状が現れます。
進行した段階で見つかることも多く、リンパ節転移をしやすい危険ながんです。

医師 「早期で見つかれば基本的には放射線治療。進行した状態で見つかってくると手術治療になります。
下咽頭は、喉頭と声を出す声帯と背中合わせの場所にありますので、声帯も一緒に摘出する治療が必要になってきます。」

下咽頭と喉頭を一緒に摘出した場合、声帯がなくなり声を失うだけでなく、気管に食べ物が流れ込まないようにする機能もなくなります。
摘出後は、小腸などを移植し、食道につなぎ、気管は食道とつながず、呼吸のための穴を開けます。

その結果、
声を失い、飲み込む働きにも障害が出やすいということになります。

下咽頭がんの主な原因は、喫煙や飲酒。
50代以降の男性に多いそうです。

年間の発症者数はおよそ4400人。
10年ほどは増加傾向にあります。

患者 「全摘出ということは、しゃべれなくなるということ。
しゃべれなくなるくらいなら、がんで亡くなっても構わないと思いました。」

しかし、今、声を残すという選択肢が出てきました。

●最新の治療について

先程の患者は、声を残すための最新の治療を受けることになりました。
患者は早期がんですが、以前食道がんで放射線治療したため、喉に再び放射線を当てることはできません。

他の病院では全摘出手術を勧められていました。

治療が始まりました。
医師が手にしているの、この治療のために開発された新しい機器。

全摘出手術では、首を大きく切って開く必要があったが、最新の手術では、口の中から治療します。

口を徐々に開いていきます。
この機器によって、口から治療するための空間を確保できるようになりました。

口から入れた内視鏡の映像を見ています。
がんがはっきりと見えます。

医師が細長い機器を手に取りました。
先端の細さがわずか0.2mm の電気メスです。

この電気メスで、口の中からがんを切除します。
がんの周りを少しずつ焼き切っていきます。

下咽頭は非常に細いものです。
喉を開く器機と、細いメスが出来たことで、口からの治療ができるようになりました。

切除が始まっておよそ1時間。
がんが取れました。
2センチほどです。

治療時間は全摘出手術の半分ほどです。
医療費は保険適用で、およそ9万円。
早期がんと、進行がんの一部が治療可能です。

治療から5日後、患者はしっかり声を出していました。

●治療の効果

患者 「以前と変わらないです。」

入院期間や食事開始までにかかる時間も、全摘出手術の半分以下です。

医師 「最大のメリットは、声を失わない手術であるということ。患者の負担が非常に小さくなったということと、手術後の機能も非常に良くなりました。」

声を取り戻す治療「ボイスポロテーゼ」

すでに全摘出をした患者に対しても、声を取り戻すための治療が始まっています。

70代の男性。
8年前に下咽頭がんのため、全摘出手術で声帯をとりましたが、ある治療で声を取り戻しました。

患者 「会社に行っていましたよ。だから、書いて伝えていました。ものすごく不便ですよ。」

●治療の方法

患者が受けた治療は、呼吸用の穴から針を刺しました。
気管から、移植してつないだ小腸に針を刺して特殊な管でつなぎます。
ボイスプロテーゼというシリコン製の管です。

気管側から食道方向へ一方向にだけ弁が開き、食べ物が気管に入らないような仕組みになっています。

ボイスプロテーゼを入れると、肺からの息が気管から食堂側に流れ、移植した小腸の粘膜が震えることで、声が出ます。

声を出すときは、気管の穴をふさいで食堂側に空気を送る必要があります。

穴の部分にハンズフリーという機器を取り付けると、吐いた息で自動的に弁が閉じ、吸うと開きます。

2015年3月に保険適用になりました。

治療費はハンズフリーを含めておよそ6万円(保険適用)。
ボイスプロテーゼの方は、4ヶ月に1回程交換が必要です。

●治療の効果

患者 「世の中が明るくなります。」

患者は職場に復帰し、経営者として今も仕事を続けています。

医師 「機能をつかさどっているところの病気なんですね。
嚥下(えんげ:飲み込む)機能、構音(しゃべる)機能に関わるので、それだけに辛い。
患者さんが、その後の人生をどう生きていくかというところだと思っております。」

命を守るか、声を守るかではなく、命も声も守る治療へ。
下咽頭がんの治療は進化を続けています。

ボイスプロテーゼを使った治療は、欧米では、全摘出手術をした方の9割以上の人が行っているということでした。

日本ではまだ1割程度の普及ということで、ようやく普及をし始めた段階であるそうです。


今回も、医療の進歩はありがたいなと思いました。

下咽頭がんの原因の一つは喫煙だということ。

私自身は、煙草をやめて10年経ちました。
下咽頭がんのリスクは、以前よりは下がったんだろうなと思います。
やめてよかったなと改めて思っています。

ただ、やめるまでは自他ともに認めるヘビースモーカーでした。
安心はできません。
ストレスをためないこと、気力を充実させるようにしていきたいと思います。