2018年4月30日(月)のWBSのゲストコメンテーターは、「サイコパス」(文春新書)の著者、脳科学者の中野信子さんでした。この本、電子書籍も含めて30万部を超えるヒットとなっているそうです。

大江さんと中野さんがやり取りしながら、サイコパスとは何か、どう考えどう対処していけばいいのかなどの話を進めていました。そして、トランプ大統領はサイコパス的な要素を持つ人物ではないか、という考え方も示されました。面白かったです。その内容を紹介します。

サイコパスとは?

大江 「中野さんによると、サイコパス的な要素を持つ人というのが近年は支持されやすいとのことです。そもそもサイコパスとはどういう人のことなんでしょうか?」
中野 「反社会性パーソナル障害という事なんですね。サイコパス的要素というのは、いわゆる犯罪者とはちょっと違う、性格の一部のようなものです。」

—解説———————-
反社会性パーソナリティ障害の要素を持っている人たちの要素は
「決断が速い」
「人がためらうことを平然と行う」
「相手の立場にたって考えない」
「自分の損得を優先」
「支配欲が強い」
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中野 「普通の人間にとって何かを決断するというのは、脳にすごく負担のかかることなんです。心にも嫌だなっていう感じがあると思うんですけど。
そういう時にサイコパス的要素を高く持っている人ですと、決断が早かったり、何でも自分で決めたがったりするという事なので、非常に楽なんですよね。」
大江 「そういう人のフォロワーになるっていうのは楽だということ?」

トランプ大統領はサイコパス?

中野 「自分の代わりに決めてくれるということです。
そういった要素を持つ人としてあげられる人というのは、、、歴代のアメリカ大統領にこうした特徴が強いと言われています。
特に現在の大統領、トランプ大統領ですね。

人がためらうことを平然と行う。米朝首脳会談をパッと決めたりとか。
他の人にはエキセントリックに聞こえるかもしれないですけれど、メキシコの国境に壁を作ってみようとか。」

大江 「これはまさに、相手の立場にたって考えないという部分も大きいでしょうね。」
中野 「相手の立場にたって考えないということですと、大統領就任後に非常に多くの側近を更迭してるということも、その一つに挙げられます。」

—解説(更迭された人物)———————-
ティラーソン元国務長官、コーン元国家経済会議委員長、マクマスター元大統領補佐官。
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中野 「自分の思う通りになる人を側近にしたいという気持ちが非常に強いようですね。」
大江 「著名なリーダーの中には、トランプ大統領だけではなくてサイコパス的要素を持った方というのはいるんですか?」

中野 「日本人にとっては、非常にわかりやすい例として出させていただくのは織田信長。
他にはアメリカの歴代大統領の中では、ケネディ元大統領はそうじゃないかと指摘されています。また、スティーブジョブズもそうだろうと考えられているんですけれど。」

サイコパス的人物の共通点を表す言葉

大江 「こういった方々に共通するものなんなんでしょう。」
中野 「共通する特徴としてキーワードとしてあげてもいいと思うんですが、”危機対応型の人物である”ということでしょうね。他の人物では、混乱した状況の中なかなか対応に困ってしまう、決断できないような状態であっても、その人物だったら答えをパッと出せる。
それが、正解であろうが、間違いであろうが力強く進んでいけるというところに特徴があるかなと思いますね。」

大江 「そういった意味ではこの要素というのは、当てはまってくるということなんですね。あと、今でも人気がある方ばかりですよね。」
中野 「そうですね。自分が出来ない決断をできるという。言葉が非常に力強くて、『ああ、この人なら信頼できるな』と一瞬思わせる特徴があるんですね。それが長期的に続くかどうかはさておき、その場の混乱した状況からこの人は救ってくれるんではないか、あるいは閉塞した状況を打破してくれるんではないかという期待を持たせる人たちである、という特徴があると思います。」

サイコパスは自分の演出がうまい

大江 「自分の演出もうまい方々なんでしょうね」。
中野 「おしゃる通りですね。自分をよく見せることが非常にうまいですね。
内実が伴っているかどうかは、見る方の判断によると思うんですけど、非常に魅力的に見せる技術にたけている人たちと、言うことができます。」

大江 「サイコパス的な要素を持った方というのは、世の中に多いものなんですか。」
中野 「一般的には、100人に一人ぐらいと言われているんですけれど、企業のCEOには五人に一人という研究もありまして。それは20%ですから、かなり多いですね。」

サイコパスをあぶりだす心理ゲーム

大江 「自分にはそういう要素があるのかどうか気になっている人もいると思うんですね。
中野さんにはあるゲームを紹介していただきます。」
中野 「サイコパスの要素がある人をあぶりだす心理ゲームです。」

—説明—————————————
1万円を2人で分けるゲームです。
・1万円の分け方を提案するのが A さん
・その提案を受けるか拒否するかを選ぶのが B さんです。

A さんはこの1万円をどう分けるのか、自由に決められます。
B さんがA さんの提案を拒否したら、2人とも1円ももらえません。

この時の B さんの判断で、B さんにサイコパス的要素があるかないかがわかるというものです。
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中野 「例えば私が1万円のうち、9900円を取って大江さんに100円しか渡さないと言ったら、大江さんはどうしますか。」
大江 「私は拒否します。提案を受ける前に、これからの人間関係を考えると半々じゃないと私は嫌ですと提案し返すと思います。」
滝田 「3000だったら許容するけれど、それ以上は(相手が多くなったら)嫌ですね。」

中野 「不公平と感じる値段が、2人とも違うということですね。これは最後通牒ゲームというゲームです。実はこれは、拒否権を発動しないのが常に得なんです。0円よりも100円でももらえた方が得なので、拒否しないのが、実は経済合理性から言って正解なんですけれど。
普通は拒否してしまいますね。その拒否したいという値段が、相手のことをうらやまし妬ましいと思う気持ちの値段なんです。
これをサイコパスは持っていない。経済合理性だけを考える人たちなので、拒否しないとお答えなる方は、もしかして、ということになります。

—解説(サイコパス的要素を持つ人が多い職業)————————————–
1位 企業の経営者
2位 弁護士
3位 報道関係者
4位 セールス
5位 外科医
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大江 「身の回りにいる、どうもこの方はサイコパス的要素を持っているのではないかとは、どうつき合っていけばいいんでしょうね。」
中野 「できればお付き合いしないことが最善だと思うんですけれど、そうもいかないという場合は、安倍総理がトランプ大統領に対して取っている、寄り添うという態度がある意味戦略としては正解かなと思うんですね。良き理解者であろうと(ふるまう)。」
大江 「振り回されるのは覚悟で、、、、」
中野 「そこと引き換えという事になりますかね。」
大江 「(思わぬ行動を)警戒しながらもつき合っていくことが大事かもしれないですね。」

kojiは思った

10年以上前に読んだ本のことを思い出しました。
「良心をもたない人たち~25人に1人という恐怖~」(マーサ・スタウト/木村博江 訳)
この本で、「サイコパス」という言葉を知り、いろいろなことに合点がいきました。本棚を見たら処分せず取ってあったので改めて読んでみました。興味深かったです。

中野さんの「サイコパス」について、アマゾンのレビューを見てみたら、「「良心をもたない人たち」の内容を書き直しただけ」というようなものがありました。実際のところはわかりませんが、少なくとも内容的には重なる部分があるのだろうと思います。
(「良心をもたない人たち」では、中野さんの100人に1人よりも多い、25人に1人となっていて、よりショッキングではあります。)

「良心をもたない人たち」でkojiが特に気になったところ

・サイコパスになるのは遺伝的な要素が50%程度、残りの50%はまだ明確になっていない。「虐待」の直接的な影響は不明。

・「愛着障害」による悪影響はサイコパスとは根本的に違いがある。(引用)「(愛着障害は)自分を正常に「見せかけよう」と努力することもない。感情表現はそっけなく魅力を欠き、敵意をむき出しにすることもあり、喧嘩腰の冷淡さと底知れない欠乏状態という索漠とした両極のあいだを揺れている。」
 ※サイコパスは自分がどうみられるかを計算していて、魅力的に見せることができる。より、厄介だ。

・(引用)「サイコパスが実際に感じると思われる唯一の感情は直積的な肉体苦痛や快感、あるいは短期間の欲求不満や勝利から生まれる、”原始的”な情緒的反応である。」

・サイコパスへの対処法は、とにかく離れること。関係を立つこと。変容を期待してはいけない。

反省していること

kojiは数年前(おそらくこの本を読んだすぐあとくらい)にある人物と関わって、手痛い失敗をしています。
今回、この本を読み返して、「あの人はサイコパスだったんだ」とやっと気づきました。いろいろことがカチッとはまりました。
せっかく本を読んでいても、自分のことになると当てはめて考えることが出来なかったんだなと、寂しい気持ちがします。(不思議と落胆はしていません。)
最後に、本の帯に書いてあることを紹介します。改めて、大事なことが書かれていたんだなと思います。
●本書から
・世の中には良心のない人もいるという苦い薬を飲みこもう
・自分の直感と相手の肩書にギャップを感じたら、直感の方を信じよう
・嘘、約束不履行、責任逃れが3回重なったら、その人を信じてはいけない
・人に同情しやすい自分の性格に疑問をもとう
・治らないものを治そうとしてはいけない