春は眠い、、、春眠暁を覚えず。
春に睡眠の悩みが強くなるのは、季節の変わり目には自律神経の調整が追い付かず、夜でもないのに眠気が訪れたりするということが一因のようです。

睡眠のことが気になったので、「8時間睡眠のウソ。」(三島和夫・川端裕人 共著)という本を読んでみました。数年前に話題になった本です。

三島和夫氏は、国立精神・神経医療研究センター部長。睡眠の第一人者であるらしい。1963年生まれということも気に入りました。

「8時間睡眠のウソ。」の中の睡眠不足のこと

睡眠のことが気になったと書きましたが、具体的には、「自分が睡眠不足気味で、午後にはとても眠いことがあるので、その眠さを解消できないか」ということを、一番に求めていました。

結論から言うと、その答えはこの本にはありませんでした。

第一章は「眠らなくなった日本人」という見出しで、世界的に見ても日本人は特に睡眠不足の程度がひどい、ということが述べられてはいました。また、睡眠不足による弊害は大きく、子供の学習障害や生活習慣病、がん、うつ病などのリスクを高めているということでした。

ただ、その解決策については、触れられていませんでした。睡眠不足のリスクをみんなが知って、睡眠時間を確保すべく行動しようということがにじんでいただけでした。

まとまった睡眠時間はとにかく必要らしい

kojiが期待していたのは限られた時間の睡眠時間でも質を高めれば、睡眠不足にならなくて済む、、、というような内容でした。しかし、書かれていたのは、「まとまった睡眠時間を確保しよう」ということ。細切れの睡眠を寄せ集めても、十分な睡眠とはならないし、短い時間で済ますことができるようにするということも、無理な話のようでした。

眠り始めの3時間に深い睡眠が現れて、主に脳を休める。そのあと、最初ほどは深くない睡眠が続く。レム睡眠は90分周期で現れる、、、
細切れに寝てしまうと眠り初めに深い睡眠が現れてしまい、夜寝るときにはあまり深い睡眠が得られない。休むべき時に脳が休むことが出来ないと眠ってもスッキリしないということが起きるようです。

直接書かれてはいなかったと思いますが、「睡眠不足なら、他を削ってでも睡眠のための時間を確保しなさい」ということだと思われます。

睡眠の質ということは、確かにあるけれど、現状ではその質を測ることはとても困難だそうです。実は「よく寝たなあ」とか、「いい睡眠だった」というのは非常に主観的なもので、脳波や心電図、血液成分などで確かめることはできないとのことでした。

睡眠とは、まだまだ謎に包まれていることがらだということでした。

何時間寝ればいいのかには、大きな個人差がある

短い睡眠時間で大丈夫になりたいと、多くの人が思います。私は強く思ってきました。その手掛かりを求めてこの本を読んだというのは上にも書きました。筆者の三島氏も思ったことがあるそうですが、思うとおりになるものではないようです。

8時間必要な人もいれば、6時間で済む人もいる。それは、簡単に変えられるものではないとのこと。そして、自分に必要な睡眠時間を割り出すことも、容易なことではないそうです。

「主観的に朝、すっきり目覚められて、なおかつ、日中に眠たくならないようなら問題ない」というのが目安としていえるとのことでした。

日中の眠気が強くて、仕事や家事などに支障が出るようなら睡眠が足りていないということですね。できることなら、睡眠時間を長くとるようにすべきだし、出来ないなら、短い昼寝をして、眠気を解消すべきだということです。

「必要な睡眠時間について」三島氏の見解が変化した?

「8時間睡眠のウソ。」を読むと、「8時間寝るべきだ」というとらわれが、不眠症の原因になることもあるので、思いこまない方がいいと、繰り返し述べられています。
その一つの根拠として、実験室で脳波を測りつつ睡眠時間を観察した得たデーターが示されていました。その図は113ページに載っています。
その解説は次の通り、少し長いですが引用します。

「これらのデーターは、実験施設に宿泊してもらって取った制度の高いデーターです。15歳ですでに平均睡眠時間は8時間を切っていて、70歳を超えると6時間を下回ります。年令とともに睡眠って、どんどん短くなってきます。あくまでも平均の話ですが、8時間というのは働き盛りの30代から50代の人たちの必要睡眠時間に比較しても長すぎるし、60代、70代だともう6時間くらいなので、目標とするには明らかに長すぎます」

最近、日経グッデイに登場した三島氏の記事では、ニュアンスが違うように感じられました。
あなたの睡眠時間、本当に足りていますか?
ここでは、平均23.4歳の男性15人を対象にして、理想の睡眠時間を調べるために9日間にわたって実験した結果が報告されています。その理想の睡眠時間は、平均ではありますが、8時間25分。

暗室で12時間横になり、目覚ましを使わずに目覚めるる実験。その眠った時間と通常の睡眠時間の差を「睡眠リバウンド」と呼んでいました。それが日常的に蓄積している人が多いという見解。

「8時間睡眠のウソ。」では『必要睡眠時間』で、今回の記事では『理想の睡眠時間』。厳密には違うのでしょうが、読者にとっては「どのくらい寝たらいいのか」ということについての、アドバイスが変化したととらえるのが普通だと思います。

おじさんは考えた

「8時間睡眠のウソ。」は、どちらかというと「不眠症」に対する心構えに重心があると思います。一律に8時間眠らなければいけないと思い込むことで、自分を追い込んでしまうことはよくないことだ、というメッセージが強く感じられました。そのことで、救われた人も多いのではないかと推測します。

ただ、睡眠不足については、そのリスクは書かれていましたが具体的なアドバイスはありませんでした。不眠症のことに重きを置けば、「寝る時間を確保しなければなりません」とは、強調しにくかったという面があるのかもしれません。

結果的に行きついた、日経グッディの記事を見たとき「やっぱり俺はもっとやることを削って睡眠時間を取らなきゃいけない」と思いました。連休明けを前に、昼休み時間にいかに昼寝をするかとか、どうやったらもっと早く布団に入れるか考えねばならないと思っているところです。

「5時間睡眠で済む体になりたい、、、」というのは、「早く人間になりたい、、、」という妖怪人間ベムと同じレベルの願いなのかなとふと思いました。